外国人と行政書士B氏の体験談
私は行政書士として十数年の経験を持ちます。今は開業して自分の事務所を構えているのですが、資格取得から5年ほどは事務所に勤務し経験を積みました。私は大学を卒業してから一般の企業に就職しましたが、どうもやりがいを感じられず、仕事の傍ら行政書士の資格取得の勉強をして資格を取得。転職活動の結果、既存の大手事務所へ就職することになりました。新卒で就職した会社では営業を担当しており、丸5年の勤務を経て転職活動をした次第です。
大手事務所では中途採用とはいえ行政書士としての職務経験はゼロの為、新入社員と同じような扱いでした。3年間の社会人経験はあり、新卒で入社していた会社はよく言えば古くから存在する歴史ある企業、悪く言えば今の時代にしては礼儀・礼節に厳しい古くさい慣例の残る会社だったので、最低限のビジネスマナーは身についてはいたものの、仕事は初めて扱うことばかりでした。このような状態なので高収入を期待できるはずもなく、転職により年収が下がってしまうところは自分でも割り切っていました。ちなみにこの時の初年度の年収は200万円台後半でした。当時、私は既に25~26歳だったので、新卒でずっと務めている友人たちに比べると低収入の部類ですが、新入社員と考えると決して悪くはない年収だと思います。
事務所勤務時代には大手ということで顧客数も多く、広い範囲の業務に携わることができました。規模の大きな企業の開設の際の申請業務に携わったり、やや複雑な相続の相談も扱いました。また、入管手続きや会計記帳、様々な許認可手続きと5年間と今思えばあっという間の年月ですが、その中で多くの経験を積ませてもらいました。初めのうちは先輩について見習いのような立場だったのが、だんだんと一人で任せてもらえる仕事も増え、5年が経った頃には一通りの業務を自分一人で扱える自信も出たため独立を決意しました。その事務所はトップが独立に対して否定的ではないため、快く送り出してもらうことができました。
そしていざ独立・開業したわけですが、独立前には私の年収は500万円まで上がっていたのですが、大手の看板が外れ、個人事務所になるとなかなか仕事を獲得するのも難しく、開業からしばらくは年収は半減しました。でも、妻も子供もいますし、低迷しているわけにはいかないとがむしゃらに働くことにしました。その時に役立ったのが新卒から3年勤めた会社での営業経験です。
行政書士は書類作成といった事務ワークが中心だと思われがちですが、お客様ありきの仕事なので仕事獲得には営業力が必要です。大きな看板がある場合は既に固定客が安定して存在するので事務的な効率作業も重要になりますが、私のような新し目の個人事務所ではまずお客様を捕まえないといけません。同じ士業でも税理士や会計士は確定申告や決算業務など定期的に依頼が発生するので顧客数は少なくても仕事は安定して入ってきます。しかし、行政書士の場合は企業の顧問になったりと定期的な収入はゼロではありませんが、ほとんどの場合はなんらかの許認可申請など一度で完結してしまう仕事なので、常に新規顧客を獲得しないと厳しいのです。
そこで、私が率先して行ったのは攻める営業です。といっても、車や保険の営業のように個人宅を飛び込み訪問するような営業スタイルではなく、相談の電話一本も取りこぼさないようにアフターフォローに力を入れました。一応インターネットサイトを開設していることもあり、新規顧客候補から相談の電話がかかってくることがありますが、たいていの場合は「もう一度考えてみます」とその場で申し込みはしません。数日後に「その後いかがですか?」のフォローの電話を入れるだけで獲得率がぐんと上がるので、営業電話を嫌がる士業は多いですが、私はそれは欠かさず行います。
また、うちの事務所の近くには大学が多いので、海外からの外国人のためのビザ申請手続き代行に力を入れています。これも大学に営業活動を行い、広告を入れさせてもらったことによる営業活動の成果です。私は語学が好きな方だったので、より語学の勉強をして、在日外国人とより密に相談ができるような営業スタイルを取ることにしました。
これが大当たりで、在日外国人のネットワークの口コミによりお客様を紹介してもらえる機会も増えて、今は私の事務所の利益の半分以上はこのビザ申請や入管手続きに関する業務で成り立っています。この道のプロフェッショナル、この道に長けた行政書士としてこの地域では一応名の知れた事務所に成長することができており、今では年収は1000万円を超えるまでになりました。
ここ数年は自分一人では扱いきれないため、語学に長けた新たなスタッフを雇い、さらに多くの件数を扱うことができています。営業活動、そして顧客のニーズに合わせた仕事内容、そして誠実に仕事をこなしていくことで一般の広告効果だけでなく口コミという絶大な広告効果を得ることができたことが収入アップへとつながったのだと思います。


